拾い食い

拾い食いとは

一言に拾い食いといっても、さまざまなケースが存在しています。

例えば、次のようなケースがあるようです。

  • 愛犬の届くところにティッシュペーパーの箱を置いておくと、箱からティッシュを全て引き出してしまい、一部は飲み込んでしまっている。
  • ごみ箱の中をあさって、ごみを舐めたり、かじったり、くわえたりする。
  • お散歩中に、地面に落ちているものを見つけると、舐めたり、かじったり、くわえたりする。
  • 特定の色や形のものを舐めたり、かじったり、くわえたりする。

犬が興味のある物を舐めたり、かじったり、くわえたりすることは、自然なことであり異常なことではありませんが、習性なのだからと言って許していると誤飲や誤食の原因となってしまいます。
それに、腐ったり、病原体に感染しているものを食べるとお腹を壊す原因となってしまいます。
思わぬ事故や怪我を防ぐためにも、しっかりと躾をしてあげてください。

拾い食いをする理由

拾い食いをする理由には、次のようなものがあります。

Ⅰ.おいしそうな匂いにつられてしまう

犬の嗅覚は、人間の数十万倍から百万倍くらいあるといわれております。
人間の鼻には感じなくても、犬にはさまざまなにおいを感じてしまっているものです。
特にサイトハウンド系(においを嗅ぐことで獲物を追跡して、しとめる猟犬のことです。)の犬種や、臭いに対して敏感な犬種の場合には、この傾向が強く表れるようです。
※一般的に、マズルの長さが短い犬種より長い犬種の方が優れた嗅覚をもっているといわれております。

このような犬種の場合、においを敏感に感じて「美味しそうだな」、「食べられそうだな」と思ったら、ついつい「パクッ!」としてしまいます。
特にお散歩中には、犬の嗅覚を刺激するがいっぱいありますので、注意が必要です。
家の中の場合には、においのするものを愛犬の届くような場所に置かない(ごみ箱に捨てない)ように注意しましょう。

Ⅱ.犬の習性

犬には、知らないものを見つけると、まず「においを嗅いでみて」、興味のある場合には「舐めたり、かじったり、くわえたり」してそのものが安全な物かどうかを確認する習性があります。
ぐうぜん見つけたものが安全かどうかを確認しているのかもしれません。

とはいっても、この習性をみとめてしまうと習慣化してしまうかもしれませんので、やめさせるようにして下しさい。

Ⅲ.いいものと勘違いしている

Ⅲのケースが、習慣化してしまたケースです。
例えば、次のような手順で習慣化してしまいます。

拾い食いをする

飼い主が慌てて取り出したり、騒いだりする

「飼い主が喜んでいる」と勘違いする

「飼い主が喜ぶほど、いいものなんだ」と勘違いする

拾い食いが習慣化する

Ⅳ.犬が興味を持ちやすいもの

犬が特に興味を持ちやすいものには、次のようなものがあります。

●ティッシュペーパー

白くてふわふわとしている為、本能的に興味を持ってしまいます。箱から引っ張り出して、引き裂いたり振り回したりすることで、「獲物をしとめた!」というように満足してしまいます。

●ビニール袋

ガサガサという音や、風でふわふわと飛ばされたり、白い色などに興味を示します。下に落ちていると、視野に入りやすいので強い関心を示します。

●タバコの吸い殻

人の唾液の臭いに興味を示します。フィルターなどの色が白いため、目に入りやすいという点もあります。

●飴玉やガムの包装紙

甘い匂いや、美味しそうな匂いに興味を示します。

●お菓子

甘い匂いや、美味しそうな匂いに興味を示します。

●落ち葉(枯葉)

落ち葉(枯葉)の上を歩いた際のガサガサという音に興味を示します。落ち葉(枯葉)が風に舞って飛ばされると強い関心を示します。

●植木鉢の植物

ちょうど目の高さにある為、興味を示します。牡犬がマーキングしている場合にも、そのにおいを確認するために強い関心を示します。

拾い食いさせないための対策

①家の中の対策

家の中の場合、犬が舐めたり、かじったり、くわえられたりして困るものは、犬が届く場所に置かないようにすることが大切なことです。
普段何気なく生活しているお家の中にも、危険はいっぱい潜んでいます。
例えば、犬が次のようなものを口にするケースがありますので、しっかり片付けておきましょう。

  • 電線コード
  • 電気製品のプラグの金属部分
  • 輪ゴム
  • ボタン
  • 電池
  • クリップ
  • ごみ箱の中のごみ
  • スリッパ
  • 靴下
  • 靴 ・・・など

②お散歩中の対策

お散歩中の場合、拾い食いしそうなものが落ちていそうな場所を通過する場合には、何か落ちていないかを飼い主が注意してあげましょう。
拾い食いしそうなものが落ちていた場合には、対象物を避けて通るようにします。
リードを短めに持って愛犬が対象物に近づかないようにするとよいでしょう。

拾い食いしそうになった場合には、セーフティー・グリップを飼い主のへその辺りに引き寄せます。
愛犬の自由を一時的に制限することで、拾い食いを回避します。
このようにすることで、お散歩の主導権が飼い主にあることを学習させる効果もあります。

※セーフティー・グリップとは、愛犬の自由を制限するためにリードにつける目印のことです。
通常リードは、リング部分を右手でもち、左手はセーフティー・グリップを持ちます。
セーフティー・グリップの場所は、愛犬を飼い主の左側に座らせて、左手を体の側面につけた状態からひじを直角に曲げた場所が最適です。

③拾い食いをしてしまった場合の対策

もし、愛犬が拾い食いをしてしまったら、「ちょうだい」をして、拾い食いをしたものを愛犬からもらうようにしてください。
「ちょうだい」のトレーニングをしていない場合には、おやつやお気に入りのおもちゃなどを差し出して、拾い食いをしたものと交換するようにします。

万一のことを考えて、普段から「ちょうだい」をトレーニングしておいてください。