犬伝染性肝炎

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犬伝染性肝炎(infectious canine hepatitis)とは、犬アデノウイルス1型に感染することで肝炎を引き起こす感染症です。

◎犬伝染性肝炎の病原体

犬伝染性肝炎の病原体は、犬アデノウイルスⅠ型(CAV-1)です。

このウイルスは、石鹸やアルコールによる消毒は無効だが、アンモニウム塩や次亜塩素酸ナトリウム、煮沸消毒が有効です。

犬アデノウイルスには、Ⅰ型とⅡ型の2つのタイプが存在してますが、発症した場合の症状は異なります。
Ⅱ型に感染して発症した場合、人間の風邪に似たような症状が現れるため、別名でケネルコフと呼ばれております。

◎犬伝染性肝炎の感染経路

犬アデノウイルスⅠ型に感染した犬の糞や尿、唾液や鼻水、涙を介して経口・経鼻感染します。

感染経路には、例えば、次のようなケースが考えられます。

  • 感染した犬の糞や尿を食べたり、舐めたりした(経口感染)
  • 感染した犬が使用した食器を消毒せずに使用した(経口感染)
  • 感染した犬のくしゃみを鼻から吸い込んだ(経鼻感染)
  • 感染した犬の鼻に接触した(接触感染)

犬アデノウイルスⅠ型は、外部の環境においても抵抗力が強いため、一定期間室温でも感染力を維持します。
症状が回復した犬の排泄物から、6ヶ月~9ヶ月間もウイルスが検出された事例もあります。

◎犬伝染性肝炎の症状

犬伝染性肝炎は、肝臓に炎症を引き起こす病気です。

犬アデノウイルスⅠ型に感染後4日~7日で発病します。
初期の症状は、次のようなものがあります。

  • 嘔吐
  • 発熱(39.5℃以上)
  • 下痢
  • 腹痛
  • 鼻水

症状が軽度の場合、発病後3日~5日程度で回復しますが、症状が重症化すると次のような症状を引き起こします。

  • 肝機能不全
  • 肝性脳症
  • 低血糖
  • 無気力、虚脱、昏迷、昏睡、けいれんなどの神経症状
  • 皮膚からの出血(点状、斑状)
  • 鼻血
  • 下血
  • 脳炎

ワクチン未接種の犬や、抵抗力の低い仔犬は、症状が重症化して死亡する場合もありますので、特に注意が必要です。

重症化した犬が回復に向かう際、角膜が青白く濁るブルーアイを引き起こす場合があります。
ブルーアイは通常回復しますが、緑内障や角膜潰瘍に発展する場合があります。

症状が回復しても、排泄物に6ヶ月~9ヶ月程度アデノウイルスⅠ型が排泄され、他の犬に感染する可能性があります。

◎犬伝染性肝炎の治療

犬伝染性肝炎の治療薬はありませんので、点滴や輸血などの対症療法を行います。
細菌やウイルスの二次感染を予防するために、抗生物質を投与する場合があります。

◎犬伝染性肝炎の予防

犬伝染性肝炎の予防には、ワクチン接種が有効です。

仔犬の場合には、1歳までに2回~3回のワクチン接種(※)を行います。
※通常は、生後45日~生後60日ころに1回目、1回目の30日後に2回目の接種を行います

成犬の場合には、年1回のワクチン接種を忘れずに行いましょう。

感染した犬の排泄物からも感染しますので、お散歩時の拾い食いや、草を舐めたり食べたりといった行為をさせないように注意します。


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