シェットランド・シープドッグ(シェルティー)の犬種スタンダード

シェットランド・シープドッグ(シェルティー)の犬種スタンダードを見てみましょう。

スタンダードというのは、各犬種毎に特徴や理想的な形態や特質などを文章に規定したものです。
日本では、犬種の標準書と表現される場合があります。

原産国 イギリス
理想体高 オス:37cmが理想
メス:35.5cmが理想

<体高の計測方法>
肩甲骨の最も高い位置から、地面に対して垂直におろした線の高さを測る。
この時、前肢を計測線と平行になるように自然に立たせて計測を行う。

次のような場合は、きわめて好ましくない。

  • 33cm未満のもの
  • 40.5cmを超えるもの

<注意>
体高が33cm~40.5の間に含まれない場合は、展覧会において失格となる。

外観 小型で長毛の優美な牧羊犬である。
粗雑さや荒々しさはない。
アウトラインは均整が取れている。
豊かな被毛、メイン、フリル、均整のとれた頭部と優しい表情。

※メイン:首の背面と側面に生えている長く厚い毛のこと
※フリル:顎の下や胸に生えている長い豊富な飾り毛のこと

特徴、性格 機敏で優しく、知的で力強く、活動的である。
飼い主に対して愛情深く、よく反応する。
見知らぬ人には打ち解けにくいが、神経質ではない。

<欠点>
以下のような気質が見られる場合は欠点となる。

  • 内気
  • 憶病
  • 神経質
  • 強情
  • 咬癖のある
  • 気が短い
頭部 上や横から見た場合に、先端が鈍角のくさび型で、耳から鼻にかけて細くなっている。
スカルの頂は平らである。
両耳の間は適度な幅である。
オクシパットの隆起は見られない。
頬は平らで、十分に丸みを帯びたマズルへ滑らかに溶け込んでいる。
スカルとマズルは同じ長さである。
スカルのトップラインと、マズルのトップラインは平行である。
ストップはわずかだが、明瞭である。
鼻や唇、目縁か黒い。

※スカル:頭蓋のこと
※オクシパット:後頭部のこと
※マズル:口吻(口もと)のこと
※トップライン:横から見たアウトラインの上の面のこと
※ストップ:両目の間にあるくぼみのこと

<欠点>
以下のような場合欠点となる

  • 二重角度の頭部
  • 過度に目立ったストップ
  • ストップのないもの
  • 両眼の下、間、上が膨らんでいるもの
  • 後頭骨が隆起しているもの
  • 丸い頭蓋
  • 頚が短すぎる場合
  • 頚が太すぎる場合
  • チーキー、スナイピー
  • 幅と厚みの不足した短い下顎
  • 薄い下顎
噛み合わせはシザーズ・バイトである。

※シザーズバイト:上の切歯の内側に下の切歯の外側がわずかに接触する噛み合わせのこと

<欠点>
以下のような場合欠点となる

  • オーバーショット
  • アンダーショット
  • 欠歯
  • 乱杭歯
  • 口を閉じているときに、歯の見えるもの
中くらいの大きさで、アーモンド形をしている。
目の色は、ダーク・ブラウンである。
毛色がマールの場合は片目または両目の色がブルーまたはブルーの斑である。

<欠点>
以下のような場合欠点となる

  • 色の薄い場合
  • 形が丸い場合
  • 大きさが大きすぎる場合
  • 大きさが小さすぎる場合
  • 瞬膜がめだつ場合
大きさは小さい。
休息時には後方へ倒れている。
警戒時は前方に向けて先端が垂れ、反立ち耳となる。

<欠点>
以下のような場合欠点となる

  • 耳の位置が低い場合
  • ハウンド種の様な形状をしている場合
  • 立耳
  • こうもりのような形状の場合
  • 耳がねじれている場合
  • 耳朶が厚すぎる場合
  • 耳朶が薄すぎる場合
筋肉がよく発達している。
十分なアーチを描いている。
頭部を誇らしげに保つのに十分な長さがある。
胴体 体高よりも体長がわずかに長い。
胸底は深く、肋骨はよく張っている。
前脚と肩を自由に動かせるように下半分は次第に狭くなっている。
背は水平で、腰部にかけて優雅でゆるやかな曲線が見られる。

<欠点>
以下のような場合欠点となる

  • 背が長すぎる場合
  • 背が短すぎる場合
  • 凹背の場合
  • 凸背の場合
  • たる胴の場合
  • 肋骨が張出していない場合
  • 胸の幅が狭すぎる場合
  • 胸の幅が浅すぎる場合
  • 尻が亀甲部より高い場合
  • 尻が丸みを持たず直線すぎる場合
  • 尻が丸みを持たず傾斜が急すぎる場合
低い位置についている。
徐々に先細になっている。
先端は飛節に達する。
豊富な毛に覆われている。
わずかに上方へ湾曲している。
動いているときには、背のラインをわずかに超えて揚げている。

※飛節:足首の関節のこと

<欠点>
以下のような場合欠点となる

  • 尾が短い場合
  • 尾の先端がねじれている場合
四肢 前肢は肩甲骨が十分に後方へ寝ている。
肩はキ甲部では脊椎によって分かれている。
肩甲骨は肋骨に十分な張りを与えるため外側へ開いている。
上腕と肩甲骨は長さがほぼ等しい。
肘は地面およびキ甲から等距離にある。
前脚は前から見て真っすぐで、筋骨たくましい。
パスターンは強くて柔軟である。
後肢は大腿が幅広く、筋肉たくましい。
膝関節は明確な角度で曲がっている。
ホック・ジョイントはすっきりと、良い角度に曲がって、十分に低い位置についている。
リア・パスターンは後ろから見て真っすぐである。
足はオーバルである。
十分なパットがある。
前肢・後肢とも指趾は隆起し、きつく握られている。

※キ甲:両肩の間にある背が隆起しているところのこと
※パスターン:手根(前脚の足首)関節と指の間のこと
※ホック・ジョイント:飛節のこと
※リア・パスターン:後肢の、飛節と指の間のこと
※オーバル:卵形
※指趾(しし):前脚と後脚の指のこと

<欠点>
以下のような場合欠点となる

  • 肩甲骨と上膊骨のなす角度が、不十分な場合
  • 上膊骨が短すぎる場合
  • 肩甲骨の外側への傾斜が不足している場合
  • 肩がゆるい場合
  • 外偏した肘の場合
  • 内偏した肘の場合
  • 前肢が曲がっている場合
  • 骨量が不足している場合
  • 足が内側にむいている場合
  • 足が外側にむいている場合
  • 足が広がっている場合
  • 兎足の場合
  • 猫足の場合
  • 大腿部の幅が狭い場合
  • カウホックの場合
  • 飛節が外偏している場合
  • 飛節関節の輪郭がはっきりしない場合
歩様 推進力は後肢からによる。
しなやかで滑らかである。
最小の労力でグランド・カバリングに富んでいる。

※グランド・カバリング:1歩で稼げる地面の範囲が大きいこと

<欠点>
以下のような場合欠点となる

  • 滑らかでなく、歩幅の狭い飛跳ねるようなごつごつした歩様
  • 体を上下に揺すりながら、小刻みに歩くこと
  • 体重を左右に移動し平均を取る歩様。(この歩様は、良く踊るような歩様といってほめられるが、これは良くない歩様である。しかし子犬の場合には、差支えない。)
  • ハクニーの様に、前肢を高くあげること。この歩様は、スピードが減じ、エネルギーを無駄に消費する。
  • 側対歩。
被毛 被毛は、ダブルコートである。
上毛は長く、粗い毛質で、真っすぐである。
下毛は柔らかく、短く密生している。
メインとフリルは非常に豊かである。
前肢も十分な飾り毛に覆われている。
後肢は飛節の上が豊かな毛でおおわれている。
リア・パスターンの毛はかなり短い。
顔も短毛である。

※ダブルコート:二重被毛のこと

<注意>
展覧会に出陳する場合、耳、足、飛節の長い毛はトリミングしても良い。

<欠点>
被毛が以下のような場合欠点となる。

  • 全体、または部分的に、被毛が短い場合
  • 全体、または部分的に、被毛が寝ている場合
  • 波打った毛の場合
  • カールした毛の場合
  • 柔らかい、絹のような毛の場合
  • 下毛が不足している場合
  • 被毛の少ない場合
毛色 毛色はセーブル、トライカラー、ブルー・マールの他ブラック&ホワイト、ブラック&タンも認められる。
どの色にもそれぞれ制約がある。

<欠点>
以下のような毛色は欠点となる。

  • 黒、またはブルーマールの毛色のさめたもの
  • 退色したセーブルや、あせたブルーマールのように色のあせたり、退色したもの
  • ブルーマールで、黒の斑点のないもの(退色したトライカラーに見える)
  • 胴体にある非常に目立つ白い斑点
  • 白色部が、体表面積の50%以上のもの
    (特に大きく減点し席次を最下位とする)

<失格>
ブリンドルの毛色。

<参考文献:JAPAN KENNEL CLUB 最新犬種スタンダード図鑑>

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