飼い主さんの幸せとは

飼い主さんの幸せとは、「愛犬や愛猫が、産まれてからその命を全うするまでの間、心身共に健康で元気にいること」ではないでしょうか。
ここでは、このテーマについて考えてみたいと思います。

<社会化期について>

子犬や子猫が心の健康を育む為に最も重要なことは、「社会化期にどのような環境で生活していたか」ということだと思います。
社会化期というのは、生後3週齢~生後12週齢(生後21日~生後84日ころ)のことです。
この時期の子犬や子猫は、親兄弟との遊びの中や、母親からのしつけから犬社会や猫社会について学習します。また、人間から愛情を沢山注がれた子は、人なつっこく、身体を触られることへの抵抗や、恐怖心が少なく、しつけの入りやすい子になるようです。つまり、社会化期とは犬社会や猫社会、人社会について学習する重要な時期なのです。

もし、この大切な時期に親兄弟から無理やり引き離され、人間からの愛情が少ないとどうなってしまうのでしょうか?
最近の研究で、社会化期の学習が不十分な子は、成熟してからの問題行動(無駄吠え、かみ付く、人嫌い、人が怖い、ひっかく、他の犬・猫との遊び方が分からないなど)が増加する傾向があることが分かってきました。
さらに、社会化に失敗した子はしつけも入りにくいと言われております。

では、社会化期に多くを学んだ子犬や子猫と、学習が不十分な子犬や子猫では、どちらが飼いやすいわんちゃん、にゃんちゃんとなるでしょうか?
答えは、社会化期に多くのことを学んだ子犬・子猫であることは明らかな事実だと思います。
子犬や子猫を選ぶ際には、社会化期をどのように過ごしてきたのかを確認する必要があると思いますよ。

<国内のペット販売の実情>

現在、子犬や子猫を展示販売しているペットショップの多くは、ペット市場(オークション)から生体を仕入れているのが現状です。
ペット市場(オークション)では、生後30日から生後45日ころの生体が出品され、流れ作業で入札が行われております。
品種名、毛色、性別、季節などで大体の入札相場が決定されており、中にはびっくりするような安価で取引されています。
落札した業者は、伝染病の潜伏期間が経過するまで、落札した生体を隔離して、生き残った個体のみを店舗に展示します。
しばらく展示して、売れ残ると別の店舗へ移動され、別の店舗でも売れ残るとまた移動されます。

このような扱いをされている子犬や子猫の社会化は十分と言えるのでしょうか?
そんなはずはありません。
生後30日から生後45日ころに無理やり親兄弟から引き離されてきており、犬社会や猫社会の学習不足は明らかな状態です。8週齢(生後56日)ころまでは、親兄弟と一緒に生活して、さまざまなことを学習する必要があると思います。
また、長時間狭い展示棚の中に閉じ込められ、見世物にされたり、お客さんが展示棚をたたいたりしますので、ストレスも蓄積されることになります。
最悪の場合、犬社会や猫社会のルールが分からず、人間を恐れたり、触られることに抵抗がある子犬や子猫となってしまいます。
このような子犬や子猫は、問題行動が増加する傾向にあり、犬同士、猫同士での遊び方が分からなかったり、人を怖がる子になってしまう可能性があります。
一度このような状態となると、飼い主さんがしつけをする際に苦労することになると思いますよ。
つまり、子犬や子猫の幸せや、飼い主さんの幸せを考慮せず、販売者側の都合のみを優先した販売方法であると言えると思います。

当店では、ブリーダーから直接飼い主様にお届けしておりますので、子犬や子猫の社会化を考慮して販売することが可能です。
飼い主様にお届けする時期は、生後8週齢以降(生後50日~生後56日)としております。
この時期まで親兄弟と一緒に過ごしているため、犬社会や猫社会を十分学習していると考えられます。
子犬や子猫には、個体差や性格もありますので、その子にあわせたしつけをする必要がありますが、きっと飼いやすい子になると思いますよ。

<心の健康について>

○犬の場合

犬の心の健康を維持するためにはどのようにすればよいでしょうか?
答えは、群の中での居場所(序列)を決めてあげ、適度な運動を行うことでストレスを発散する必要があると思います。

犬の祖先は、オオカミだといわれております。
オオカミは群を形成して、群のリーダーの下で行動する動物だと言われております。
この習性は犬にも残っており、常に群の中での順位(序列)を意識して生活していると言われております。
群のリーダー犬は、常に群の安全に注意して、外敵から群を守るようにしていますので、そのストレスはかなり大きなものになると思われます。

では、家庭の中での愛犬の順位はどの位置に決めてあげるのがよいのでしょうか?
家庭犬の場合には、家族の一番下に決めてあげて欲しいと思います。
理由は、飼い主さんが群のリーダーとなることでストレスが軽減されるからで、愛犬は家族の中でリラックスすることが出来るようになりますし、飼い主さんの指示(命令)をきくようになり、従順なわんちゃんとなると思いますよ。

○猫の場合

猫の心の健康を維持するためにはどのようにすればよいでしょうか?
答えは、これから子猫の飼育を開始する場合には、屋内飼育を徹底して、にゃんちゃんが自由に振舞えるように屋内を工夫してあげると良いと思います。
例えば、タンスの上を自由に歩けるように工夫したり、キャットタワーやキャットウォークなどを設置してあげるのも良いのではないでしょうか。

ところで、なぜ屋内飼育なのでしょうか?
実は、猫の死亡原因のトップは常に交通事故によるものなんです。
ときどき、車にひかれてかわいそうな状態になっている猫を見かけることがあると思います。愛猫がその様な姿にならない為にも屋内飼育を徹底するようにしてあげてくださいね。

一度でも屋外に出て自由に行動する生活を体験すると、外に出たがるようになります。
外に出ると、近所を徘徊したり、昼寝をしたりして過ごしますが、他の猫とケンカをしてケガをして帰ってくることもあります。
それに、オス猫のマーキングや、鳴き声は近所への迷惑となります。
伝染病へのリスクも増加しますので、屋外での飼育は避けるべきではないでしょうか。

<去勢・避妊について>

飼育している愛犬や愛猫の子供を望まないのであれば、去勢・避妊手術を検討してあげてください。
「身体にメスを入れるのはかわいそう」と思われるかもしれませんが、そのデメリットに比べて多くのメリットがあると言われております。
例えば、性特有の病気(癌など)へのリスクや、オス犬のマーキングや遠吠え行動、メス犬の発情期のストレスや問題行動(イライラ、吠える、噛みつくなど)などが軽減されます。さらに、去勢・避妊手術後には、飼い主に従順になり、飼いやすい子になるとも言われております。

<身体の健康について>

○混合ワクチンについて

接種する混合ワクチンの種類は、飼育する環境や地域によって異なりますので、地域に密着した信頼出来る獣医さんと相談して決定してあげる必要があります。
ワクチンは病原体の能力を弱めたのもを身体の中に入れますので、接種することによるリスクも存在します。
接種後には、激しい運動を避け、安静にするようにしてあげてくださいね。

○狂犬病予防注射(ワクチン)について

狂犬病は人畜共通の伝染病です。
感染した犬が狂ったようになる為にこの名前がつけられておりますが、実は、犬だけでなく、人間、猫、馬、キツネ、アライグマ、こうもりなど多くの動物が感染することが分かっております。
狂犬病は、発症するとほぼ100%死亡するとても恐ろしい病気です。
犬の飼い主には、狂犬病予防法によるワクチンの接種義務がありますので、必ず接種してあげてください。

○日常の健康管理について

愛犬や愛猫の状態をよ~く観察してあげてくださいね。
例えば、食欲はあるかどうか?、適度に水を飲んでいるかどうか?、便や尿の色や量、形に問題がないかどうか?、いつもと違うところがないかどうか?などを観察します。

犬や猫は、その習性で自分の痛いところや、苦しいところを可能な限り隠してしまいます(弱いところを外敵に悟られると、標的にされてしまいますので・・・)。
愛犬や愛猫の健康管理は前述のような、観察をすることが重要だと思います。
もし、愛犬や愛猫にいつもと違うところがあるようでしたら、獣医さんに相談して上げて欲しいと思います。
愛犬、愛猫との生活になれてくると、獣医さんに相談しなくても、ある程度原因が分かるようになってきますよ。

観察した内容は、ブログや日記などに書き留めておくのも良いのではないでしょうか。
後から見直した時に、愛犬や愛猫の話題で盛り上がると思いますよ。

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