ペットロス症候群について考える

<ペットロス症候群(ペットロスしょうこうぐん)とは>

一般的に「ペットロス症候群(ペットロスしょうこうぐん)とは、ペットと死別したり、ペットが行方不明になったり、盗難に遭ったりしたことなどを契機に発生する疾患ないし心身の症状のこと。」(フリー百科事典 Wikipediaより)とされています。

愛犬と一緒に生活していると、愛犬が「いつもそこに居る」のが当たり前のように感じられます。
この愛犬が突然居なくなると、いつもの生活のリズムが崩れてしまい、ペットロスに陥ります。
ペットロスは、家族の一員として愛犬を飼育している方のほうが陥りやすいようです。

ペットロスに陥ると、さまざまな精神的症状、身体的症状が引き起こされます。
主な症状には、例えば以下のようなものがあります。

  • うつ状態、うつ病
  • 睡眠障害(不眠症など)
  • 情緒不安定
  • 疲労感
  • 虚脱感
  • 無気力症状
  • めまい
  • 摂食障害(拒食症・過食症など)
  • 幻覚・幻視・幻聴(ペットの声や姿が一瞬現れた気がするなど)
  • 妄想(「今にでも元気に帰ってくるのではないか」)
  • 消化器疾患(胃潰瘍など)

<参考文献:フリー百科事典 Wikipedia>

 

<あるブリーダーさんの事例>

実際にペットロスになったことがあるシェルティーのブリーダーさんによると、家庭犬として飼育していたシェルティーがある日突然亡くなったそうです。
昨日までいつもと同じようにお散歩して、ご飯も食べていたのですが、次の日の朝、自分のベットの上で丸まって冷たくなっていたそうです。
このブリーダーさんは、この子の他にも数十頭のシェルティー(ショードッグ)を飼っており、今まで何度もシェルティーの最後を看取ってきたため、「まさか自分がペットロスになるなんて」と思っていたそうですが、家族として飼育していたシェルティーが居なくなると、心の中に大きな「穴」が開いてしまい、何も手がつかない状態になってしまうそうです。
このブリーダーさんは、この子の死が辛かったため、シェルティーを家庭の中に連れてこないようにしようと考えたそうですが、立ち直ることができなかったそうです。
立ち直るきっかけになったのは、1頭のシェルティーを家庭に連れてきたことだそうです。
新しく家庭に迎え入れたシェルティーの子の世話をして、その子がこのブリーダーさんのそばに寄り添うことで、気が紛れ、徐々に回復していったとのことでした。
このシェルティーの子は、繁殖には使用せず、家庭犬として愛情を注いでいるそうです。

<ペットロスの立ち直り方、予防するには>

このように、犬のプロであるブリーダーでもペットロスになることがあります。
ペットロスに陥った際に立ち直る方法は、「新しく子犬を飼育すること」です。
また、ペットロスに陥らないようにする為に、現在飼育している愛犬が元気なうちに次の子犬を飼育し始めるのが効果的です。
このようにすることで、万が一既存の子が亡くなっても、次の子の世話をすることで気が紛れ、亡くなったの子の喪失感が軽減されます。
さらに、新しく子犬を飼い始めると、年を取った愛犬(既存の子)が元気になる傾向があるようです。科学的に説明することはできませんが、子犬のエネルギーに触発されて、既存の子も元気になるのではないでしょうか?

では、どのような子を新しく家庭に迎えたら良いのでしょうか?

ペットショップさくらには、「前飼っていた子とそっくりな子を探してほしい」、「子犬の写真を見て、前飼っていた子とそっくりだったので、見学したい」、「亡くなった子が、忘れられなくて、どうしたら良いですか?」というようなご依頼・ご要望が寄せられますが、ご見学いただく際に、必ずご案内することがあります。
それは、「新しく飼う子犬は、前飼っていた子と全く違う子にすることをお勧めします。」という内容です。
前飼っていた子が、男の子(オス)なら女の子(メス)を、毛色がレッドならホワイトなど他の色を、時には違う犬種をお勧めすることもあります。
もしかしたら、犬から猫、もしくはうさぎなどに変えることも有効かもしれません。
なぜなら、「新しい子に前の子のイメージを押し付けたり、比較すると、新しい子が可愛そうですよ」という理由からです。
前の子は前の子であり、新しい子が前の子とどんなにそっくりでも、新しい子は新しい子なのです。
たとえ、新しい子が前の子のクローンであったとしても、新しい子が前の子と全く同じ子になることはありません。
当店では、新しく飼う子はその子であり、唯一の命として接して欲しいのです。
そのことが、子犬の幸せであり、最終的に飼い主さんの幸せにも繋がると信じております。

<愛犬の幸せな看取り方・亡くなり方について>

愛犬の幸せな看取り方・亡くなり方についても考えてみましょう。

愛犬が老犬になると、いろいろ病気をするかもしれません。
苦しんでいる命を看病するのは、飼い主として当たり前のことだとは思います。
ただ、看病などいろいろ手を尽くしてあげた結果、最後の時を一緒に看取ってあげた場合と、愛犬が普段と同じように生活していてある日突然ポックリ亡くなっていた場合ではどちらが、幸せなのでしょうか?
わたくしは、後者「愛犬が普段と同じように生活していてある日突然ポックリ亡くなっていた場合」の方が幸せな最期だと思います。
前者の「看病などいろいろ手を尽くしてあげた結果、最後の時を一緒に看取ってあげた場合」が悪いというわけではありません。
ただ、犬は人の言葉を理解することは出来ませんが、人の感情や思っていることは伝わる(感じ取る)のです。
前者の場合ですと、飼い主さんの悲しい感情や、愛犬に対するかわいそうというような感情が伝わり、「飼い主さんが悲しんでいるから自分(愛犬)も悲しい」と思っているでしょう。
後者の場合は、普段と同じ生活で命を全うしているのですから、たとえ最期の時を看取ることができなくても愛犬にとっては、幸せな最期なのだと思います。

<最後に>

犬の寿命は10年~15年程度と人の寿命に比べて非常に短いため、飼い主さんは多くの場合で愛犬の最期を迎えることになります。
ただ、愛犬が飼い主さんより先に亡くなったからと言って、必ずしも「かわいそう」というわけではありません。
愛犬がその命を全うしたのであれば、それは幸せな犬生(犬の人生という意味の造語です)だったのではないでしょうか?

愛犬は、飼い主さんが喜ぶことを自分の幸せと感じています。
犬は人の言葉は理解できません(簡単なコマンドによる指示は理解できます。)が、人の感情や心は自然と伝わり、飼い主さんが喜ぶと愛犬も喜び、飼い主さんが悲しむと愛犬は心配することが分かってきています。
飼い主さんと一緒に楽しく遊んでいる時は、愛犬も幸せな顔をしていて、飼い主さんが泣いているとそっと傍に来て慰めてくれた経験はありませんか?
飼い主さんがいつまでも悲しんでいると、亡くなった愛犬も悲しんでいるかもしれませんよ。
ペットロスに陥った飼い主さんが一日も早く立ち直り、幸せな人生を送ってもらうことを愛犬も願っているのです。

この記事が少しでもペットロスに既に陥っている方、ペットロスが心配される方のお役にたてれば幸いです。