シェットランド・シープドッグは、イギリスのスコットランド地方・シェトランド諸島で羊や牛、豚、ニワトリなどの管理を行う牧畜犬として作出されました。
シェットランド・シープドッグの先祖は、シェットランド諸島に持ち込んだイギリスのスコットランド地方で活躍していたボーダー・コリーやラフ・コリーと同じ先祖の牧畜犬だと言われております。
シェトランド諸島は気象環境が大変厳しく荒涼としていた為、限られた牧草地しかありませんでした。
家畜に与える飼料が不足がちとなることで家畜は小型化していきました。
シェットランド・シープドッグの先祖もシェットランド諸島の環境に適応して、徐々に小型化していきました。
この地域は人口が少ないことで放牧地と耕作地を隔てる柵がほとんどなく、1頭で羊や牛だけでなく、豚やニワトリなどの小動物の動きを管理することができる万能犬が常に求められておりました。
小型化したシェットランド・シープドッグの先祖は、俊敏で、物覚えも良かったことから万能犬として活躍しただけでなく、優しく気立ての良い性格だったため、家族の一員として愛されていました。
バイキングが活躍した時代になると、このシェットランド・シープドッグの先祖にスカンジナビア地方のサモエドなどのスピッツ系の血が加えられ、シェットランド・シープドッグの基礎となる犬が作出されました。
その後、19世紀後半にイギリス海軍が立ち寄るようになると、シェットランド・シープドッグの基礎犬がイギリス本土に持ち帰るようになりました。
イギリス本土では、持ち帰ったシェットランド・シープドッグの基礎犬を「トゥーニー・ドッグ」と呼ばれるようになりました。
※「トゥーニー・ドッグ」とは、シェットランド語で「牧場の犬」という意味となります
この頃のシェットランド・シープドッグは、スパニエル系の影響を感じさせる犬でしたが、大型化を抑えながらラフ・コリーとの交配をしたり、キング・チャールズ・スパニエルやポメラニアンの血も加えるなどの改良を行うことで、現在の「シェットランド・シープドッグ」が作出されました。
この時代になると、犬種の呼び名は「トゥーニー・ドッグ」から「シェットランド・コリー」へと変わり一般化しますが、ラフ・コリーのブリーダー団体から抗議されることとなり、数年後に現在の「シェットランド・シープドッグ」という呼び名に変更されました。