飼い主のマナー違反よる迷惑事例

現在では、何らかのペットを飼育している家庭が珍しくなく、ごく当たり前のように、公園や街角でペットを連れている人を多く見かけるようになりました。

先日発表された犬猫を飼育している家庭の全世帯に対する割合は、犬が約17%、猫が約10%でした。
これに対して、今後犬猫を飼いたいと考えている家庭の割合は、犬が約30%、猫が約18%でした。
(参考文献:一般社団法人ペットフード協会 平成24年全国犬猫飼育実態調査 結果)

このようにペット産業は、潜在的に需要が潜む、成長産業であるといえると思います。

日本でも、ペットの飼育が社会に浸透してきており、家族の一員(コンパニオンアニマル:人生の伴侶動物)として考える家庭が増えてきていると思います。

私も飼い主の一員ですが、いろいろと考えなければいけない問題も増えてきているように思います。
その代表的なのは、まわりの迷惑をかけていることに気づかない飼い主さんが増えてきているように思います。

<大人のマナー違反>

少子高齢化や核家族化が進んだためでしょうか?
周りの人が迷惑していても、誰も注意しなくなり、大人のマナー低下がしばしば見られるようになってきているのではないでしょうか。
大人のマナー違反というと、「最近の若者は・・・」と思われがちですが、老人や中高年のマナー違反も増えてきているように思います。

最近では、販売されるマンションのほとんどがペット飼育可となりました。
賃貸アパートや賃貸マンションでもペット飼育可のものが増えてきております。
このような住環境の変化に伴い、ペットを飼育している家庭と飼育していない家庭との間のトラブルが増加しているように思います。
ここでは、いくつかの事例を紹介させていただきます。

この事例を反面教師として、是非マナーのよい飼い主さんになっていただきたく思います。



ケース1【ある喫茶店での出来事】

ある喫茶店に立ち寄った時の出来事です。
喫茶店にあるお客さんが来店してきました。
左側には、何やらもぞもぞと動くバックを肩からかけています。
そのお客さんは、私の二つとなりの席に座り、そのかばんをテーブルの上に置きました。
しばらく見ていると、カバンからうれしそうな笑顔のトイ・プードルが顔を出し、テーブルの上を歩きだしました。
飼い主は、カバンから犬用のおやつを取り出すと、そのトイ・プードルに与えていました。
そのトイ・プードルはおやつを食べてのどが渇いたのか、飼い主さんに何やら要求しています。
飼い主さんは、カバンからペットボトルを取り出すと、ティーカップのソーサーにその中の水を注ぎ、そのトイ・プードルに与えていました。

◎私見

後から店員に確認すると、この喫茶店はペット入店不可のお店で、店員は気づかなかったそうです。
世の中では、全ての人間が動物好きとは限りません。
この飼い主さんにとってはいつも通りで、何の抵抗もないのかもしれませんが、ペットを飼っていない方からすると汚らしく思うかもしれません。
もしかしたら、ペットを愛するあまり、他の方への配慮が欠けていたのかもしれませんね。



ケース2【河原での出来事】

女性がミニチュア・ダックスフンドを連れて河原を散歩していました。
そのダックスフンドが突然しゃがみ込みました。どうやら大きい方を済ませたようで、すっきりとした顔をしていました。
その女性は、その忘れ物を拾うことなく、何事もなかったかのように歩いて行ってしまいました。

◎私見

公園や、河原などをお散歩していると、しばしばこのような忘れ物に遭遇します。
この場合、公共の施設である公園や、河原をきれいに使うのも、汚れていて不快な思いをするのも飼い主次第ではないでしょうか。



ケース3【迷惑な隣の家の猫】

公園で知り合ったお散歩友達の方から聞いた話です。
この方の家の庭には、隣の家で飼っている猫が毎日遊びに来るそうです。
この猫は、遊びに来ると、決まって同じ行動をして帰るそうです。
庭に置いてある鉢植は、時々ひっくり返してしまい、植えてあった花が台無しになってしまうそうです。
その後、決まって花壇の中で糞をして自分で埋めてしまいます。
最後に、ガレージに行くと、一番奥の隅におしっこをかけて帰るそうです。
この方は、自分も犬を飼っていて、誰かに迷惑をかけているかもと思うと、その猫の飼い主に注意することができずにいるそうです。

◎私見

これから猫を飼うことを考えている方には、屋内飼育を徹底するようにお願いしたいと思います。
猫は、一度でも外に出してしまうと、外に出たがるようになってしまいます。
屋外に出た猫は、通常、狭い範囲を行動範囲としており、巡回して見回ったり、安全なところで昼寝をして過ごします。
オス猫の中には、数匹のメス猫を従え、比較的大きな範囲を行動範囲とする場合があります。
この場合、スプレーと呼ばれる尿をかけてテリトリーを主張する行為を行ったり、発情しているメス猫を巡って他のオス猫と喧嘩をすることがあります。
このスプレーは独特の異臭がして、なかなか消えることがありませんし、動物好きな方でも毎日鉢植えを倒されたり、花壇に糞を埋められたりするとうんざりしてしまうのではないでしょうか。
愛猫を屋内飼育することで、近隣の方と上手にお付き合いすることができますし、愛猫が感染症に感染することも予防できます。
さらに、他の猫と喧嘩して、怪我をして帰ってくることも無くなります。

猫の平均寿命から見ても、屋内飼育を徹底している場合には約16歳ですが、屋外に出している猫の場合には、約12歳という結果が出ています。
屋外に出している猫の死亡原因のトップが常に交通事故であり、毎年多くの命が失われているということを、飼い主さんには知っていただきたいと思います。



ケース4【義理の母のチワワ】

ある女性の方から聞いた話です。
義理の母は、愛犬家でチワワを6頭飼っています。
時々孫の顔を見に遊びに来るのですが、チワワ6頭も一緒に遊びに来ます。
義理の母が来ると、真っ先に6頭すべてをキャリーケースから出して、リビングに放してしまいます。
実はこの内の一番小さい(若い)1頭が問題なんです。
この子は、メスの2歳になる子なんですが、リビングに放されると大興奮!
しばらく、暴れ回った後、決まって同じ場所で・・・
「そこはやめてー!」という心の声もむなしく、リビングの真ん中に池ができてしまいます。

◎私見

親しき仲にもマナーが必要なことがお分かり頂けると思います。
この方は、毎回、水拭きして掃除するのですが、匂いが消えず困っているそうです。
義理の母なだけに、文句も言いづらく、ストレスをためているとのことでした。



ケース5【子供にとびかかるゴールデン・レトリーバー】

ある男性から聞いた出来事です。
この方は、3歳になる子供を連れて公園をお散歩していたそうです。
公園では、ボールを投げている飼い主と、そのボールを嬉しそうに持って帰ってくるゴールデン・レトリーバーがいたそうです。
飼い主がボールを投げると、ゴールデン・レトリーバーが追いかけていき、ボールを拾いましたが、なぜかボールをくわえたまま、子供めがけて全速力で近づいてきたそうです。
子供の目の前で急停止したゴールデン・レトリーバーは、しばらく子供を見つめると、突然、子供の上に乗りかかってきました。
幸いにして、子供はしりもちをついただけで怪我はなかったのですが、びっくりして大泣きしてしまったそうです。
この飼い主は、誤ることもなく、ゴールデン・レトリーバーを呼び戻すと、そのままボールを投げていました。

◎私見

このケースでは、ゴールデン・レトリーバーが悪いのではなく、この飼い主に問題がありますね。
推測ですが、おそらく2歳くらいのゴールデン・レトリーバーだったのではないでしょうか。
このゴールデン・レトリーバーには全く悪気はなかったと思いますよ。
実は、2歳くらいのゴールデン・レトリーバーは、体力が有り余っていて、運動しても体力が余ってしまう子が多いんです。
この「上に乗りかかるという行為」も、マウンティングと呼ばれる、犬社会ではごく自然に行われる行為で、ゴールデン・レトリーバーとしては、ちょっと遊んだつもりだったのかもしれません。
ゴールデン・レトリーバーのような大型犬種の場合、ちょっと遊んだつもりでも相手(人間)にはかなり強い力のように感じられます。
大型犬種を飼うためには、まわりの状況に注意を払い愛犬が人間に危害を与えないようにする必要があります。
それに愛犬の運動のためとはいえ、公共の公園でノーリードで遊ばせることは絶対にしてはいけません。
日本国内では、ほとんどの地方自治体でノーリードを条例で禁止しています。
つまり条例違反ということになりますね。
愛犬の逸走を防止するという意味でも必ずリードをつけるようにしましょう。



ケース6【ほじょ犬について】

  • 「この子セラピードッグでほじょ犬なの。だから、一緒にバスに乗ってもよいでしょ。」と運転手にお願いする飼い主さん。
  • 愛犬の背中に「介助犬」と書いた紙を貼りつけて、「介助犬だから一緒に店に入れて欲しい」とレストランに頼み込む飼い主さん。

◎私見

皆さんは、「身体障害者補助犬法」をご存じでしょうか。
この法律により、以下ように義務づけられるようになりました。

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ほじょ犬の同伴については、「身体障害者補助犬法」で、人が立入ることのできるさまざまな場所で受け入いれるよう義務づけられています。「犬だから」という理由で受けいれを拒否しないでください。

「ほじょ犬(身体障害者補助犬)」は、目や耳や手足に障害のある方の生活をお手伝いする、「盲導犬」・「聴導犬」・「介助犬」のことです。

◎ほじょ犬の同伴を受け入れる義務があるのは以下の場所です。

  • 国や地方公共団体などが管理する公共施設・ 公共交通機関(電車、バス、タクシーなど)
  • 不特定かつ多数の人が利用する民間施設-商業施設、飲食店、病院、ホテルなど
  • 事務所(職場)-国や地方公共団体などの事務所-従業員56人以上の民間企業

◎ほじょ犬の同伴を受け入れる努力をする必要があるのは以下の場所です。

  • 事務所(職場)-従業員56人未満の民間企業
  • 民間住宅

※厚生労働省ホームページより引用

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1つ目は、仮にセラピードッグであったとしても、ほじょ犬には該当しないため、通常のペットとして扱われますので、交通機関のルールに従って乗車するべきだと思います。

2つ目は、通常、介助犬が仕事をする場合、紙で「介助犬」と表示することはありません。本当にこの犬は介助犬なのでしょうか?

ほじょ犬は、身体障害者にとって、とても大切なパートナーです。
一般的な愛玩犬と違い、しっかりとした訓練を施された、身体障害者を補助するプロの犬であることをご理解ください。
ここで紹介した事例のように、しっかりと理解せずに制度を乱用すると、ほじょ犬を必要とする人の迷惑となることを分かっていただきたいと思います。